ジオパークエリア内で発見された新鉱物「北海道石」とその保全についてのお知らせ

地質・鉱物を愛する皆様へ

 本日(5/26)、日本地球惑星科学連合大会において、当ジオパークエリア内に産する鉱物が新鉱物「北海道石(ほっかいどうせき)」として国際鉱物学連合に承認されたこと、またその詳細についてが発表されました。このことを受けまして、とかち鹿追ジオパーク推進協議会長からその紹介と保全についての声明を発出致しました。
 関係者の皆様におかれましては、下記の声明文をご一読いただき、今後の地質遺産の保全に向けた取り組みにご理解とご協力いただけたら幸いです。

 とかち鹿追ジオパークのエリア内(鹿追町内)から産出する鉱物が「北海道石(ほっかいどうせき)」、 学名:hokkaidoite(ホッカイドウアイト)として、国際鉱物学連合に承認・
登録されました(2023年1月)。あわせて、開催中の日本地球惑星科学連合大会において、発見した研究者グループによってその産状や特徴が公表されました。北海道石は、鹿追に産するオパールの中に含まれており、微細な淡黄色樹枝状結晶として多量に見られ、紫外線照射により黄色~黄緑色蛍光を発します。
 ジオパークのエリア内から学術的に貴重な発見がなされたことは大変喜ばしいことと考えております。一方で、北海道石を含むオパールの盗掘を懸念しています。具体的な場所は明かせませんが、産地は無許可での採掘は禁じられている場所にあります。しかしながら日常的にインターネットオークションなどで取引がなされており、違法採掘が行われていると考えています。実際に過去には盗掘者が書類送検されるなどの事案が発生しています。これまで、とかち鹿追ジオパーク推進協議会では産地の情報を公開せず、現地の見回りなどで保全に努めてまいりました。現在も長期的な産地の保全策を関係機関と協議しています。
 ジオパークの活動は、「地球の記憶に関する権利宣言」(1991 年)に端を発しています。この宣言は、大規模な化石盗掘が横行していた時代背景の中で、地形や地質に関する自然遺産を、人類の記憶として大切にしてきた文化遺産と同じように、「地球の記憶」として大切にしていこうと出されたもので、その理念は今でもジオパーク活動の根底にあります。オパール・北海道石の産するエリアはごく限られた範囲にしかなく、また、産地にはかつて温泉が湧出していた痕跡が残るなど、変動する地球の活動を知る上でも重要な場所であると考えられます。これらは、大規模な盗掘被害を被ると二度とその姿を復元できない状況にあります。
 鉱物を愛する皆様におかれましては、違法な採取は厳に慎んでいただき、この貴重な自然遺産を将来にわたって保護・保全していくことに協力いただきたい。当協議会では、現地の保全とともに、鉱物に興味関心を持たれた方が、その好奇心を殺さずにすむよう、ビジターセンターでの新鉱物の展示紹介を行なってまいります。

とかち鹿追ジオパーク推進協議会長(鹿追町長)  喜井 知己