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ブログテーマ 凍れ(しばれ)

畑に現れた大昔の凍れの証拠

5月に、鹿追町上幌内地区の畑で、不思議な網目模様が観察されました。
畑に現れた模様
上幌内地区の畑に現れた模様(2025年5月 撮影:松本宏樹)

網目の大きさは数十メートル程で、ドローンを使って空から撮影すると、その様子がよくわかります。このパターンは、畑の表面の湿り具合の違いです。地下に何らかの構造があり、雨が降った後の乾き方の違いで模様が現れるのです。畑に作物を植える前、土が出ているタイミングだからこそ、観察できました。

この模様をつくった、地下の構造はどのようなものでしょうか。これは、地球全体が寒冷だった氷期に、水分を含む地層が毎年凍ったり、融けたりを繰り返すことによって出来たと考えられます。激しく凍結融解を繰り返すと、地層が変形したり、割れ目が発達したりして、多角形の模様ができるのです。現代でも北極圏ではよく似た模様が表面の地形が見られます。


北極圏にある米国アラスカ州ノーススロープの永久凍土帯に現れた多角形模様(Ice-wedge polygons)。撮影:Christian E Zimmerman

氷がつくる割れ目についての解説動画(米国アラスカ国立公園による;英語)

凍結と融解によって起こる現象を専門的には周氷河現象と呼びます。上幌内地区のものは過去に起こった「化石周氷河現象」です。

十勝をはじめ道東、道北では、様々な化石周氷河現象が見つかっています。それらの証拠から、氷期の北海道は、平野部でも、現在の北極圏のように永久凍土が広がっていたと考えられています。人類がはじめて北海道に渡ってきた旧石器時代も氷期でした。畑の模様は、当時の今より厳しい寒さを物語っています。
(参考文献:小疇尚 日本の寒冷地形に関する研究 第四紀研究50巻3号)

(広報しかおいR7年7月 ジオパークコーナー記事より一部改変)

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