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ミヤベイワナのおはなし

Boreal Forest 阿久澤 小夜里

山の上の湖・然別湖には、『ミヤベイワナ』という魚がいます。この魚は、オショロコマの固有亜種。然別湖にしかいない魚です。

オショロコマだけど、オショロコマとは少し違うミヤベイワナ。どうして、ミヤベイワナと呼ばれる魚が生まれたのでしょうか。

それは、火山の噴火と然別湖の誕生が大きなきっかけとなっています。

火山の噴火で陸封されたオショロコマ

然別湖 空撮画像

数万年前(一説によると10万年前)、火山の噴火によって川がせきとめられて、然別湖ができました。このため、川で暮らしていたオショロコマが、湖で暮らすことになりました。

川から湖へと生活環境が変わったことで、オショロコマの体や生活スタイルにも変化が現れました。

オショロコマとは

オショロコマ

オショロコマは日本では北海道だけに暮らす魚です。冷たい水が好きなので、北海道の中でも、主に、深い森に囲まれた川の上流や標高の高い場所にある渓流で暮らしています。

生活環境の変化とともに、食べ物が変化もともとオショロコマの食べ物は川に暮らす水生昆虫です。でも、然別湖では同じもの食べることができず、ミジンコなどの小さなプランクトンが主な食べ物になりました。

食べ物が変わったことで、体にも変化が!

変化が現れたのは、魚が食事をする時に使う『さいは』という器官です。『さいは』とは、鰓(えら)をささえる骨についた刺(とげ)のこと。

さいはの解説

魚は、口から吸った水を鰓から吐き出す時に、この刺で食べ物を漉しとっています。然別湖のオショロコマは、他の場所のオショロコマよりも、この刺の数が多いのです。これがミヤベイワナに現れた体の変化のひとつです。

川で暮らしていた時よりも、小さな食べ物を食べることができるよう、長い年月をかけて、『さいは』の数を増やしたのでは?と言われています。

また、湖でたくさんのプランクトンを食べることにより、他の場所のオショロコマよりも体が大きいとも言われています。これらの違いから、然別湖のオショロコマは、ミヤベイワナと呼ばれるようになりました。

ミヤベイワナの生活スタイル

然別湖ができたことで、湖を海とみたてて、湖に流れ込む川と然別湖を行き来するものが現れました。

生まれた川から湖に下り、湖で小さなプランクトンをたくさん食べて、大きく育ち、産卵のために、再び川を上るという生活をするという暮らしです。みなさんが良く知っている、サケと同じです。

ただ、サケとは違い、産卵しても命尽きることはなく、何年か繰り返し産卵をします。夏でも水温が低い道東では、河口近くで暮らすオショロコマもいて、その中には海と川を行き来するタイプもいるようなので、ミヤベイワナ

だけのスタイルではないのですが、山の上の湖で、降海型の生活をするなんて、面白いですね。9月~11月頃、然別湖の流入河川では、産卵のため遡上するミヤベイワナの姿が見られます。遡上がピークを迎える秋の終わり頃には、川岸から婚姻食に色付いた美しい姿を見ることができるかもしれません。

ミヤベイワナの保護

然別湖と湖に流れ込む川は、すべて禁漁です。
(※ただし、期間限定で、然別湖特別解禁が行われています。)

また、然別湖の北側とそこに流れ込む川は、ミヤベイワナにとって特に大切なエリアとして、北海道指定の天然記念物となっています。

関連リンク:グレートフィッシング然別湖 公式サイト

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